エスト アジエンス

面矢慎介(旧姓:福島) OMOYA Shinsuke

群馬県立前橋高等学校
大学25回生(77.3学部卒、大学院79.3修了)
79.4(株)GKインダストリアルデザイン研究所、95.3(株)GKデザイン機構・GK道具学研究所副部長を退職、95.4 滋賀県立大学人間文化学部助教授、現在は、生活デザイン学科教授。
学術博士(千葉大学2004)
MA(RCA)(英国ロイヤルカレッジオブアート1990)
日本デザイン学会、道具学会、デザイン史学研究会、意匠学会、日本生活学会会員
趣味:読書(海外文学の翻訳書が中心。学生時代のサークルは文芸部に所属)
モットー:大学に閉じこもらず。「民間」にいたころの軽いフットワークで動き回る。

(1)学術論文

⒈. ” The Development of Modern Household Objects: Electric Pots and Thermos Bottles in Post-War Japan”平成8年/Proceedings of the First China-Japan Joint Inter-national Symposium on INDUSTRIAL DESIGN pp.27-32
2.「近代家庭機器の発展・普及過程:日本の家庭用風呂の近代化を事例として」平成9年/:日韓デザインシンポジウム論文集「Design Studies」Vol.22 pp. 253〜258
3.“The Development of Modern Household Objects; Modernization of Pots and Pans in Japan, 1900 - 1970"/平成10年/Proceedings of the Third Asia Design Conference pp.295〜300
4."The Development Process of Modern Household Objects; Coffee Making Devices for Homes in the United States 1900-1980"/平成13年/Bulletin of the 5th Asian Design Conference(CD-Rom)
5. 「英国と日本における近代家庭機器の発展過程およびデザイン変遷に関する研究」平成16年/千葉大学自然科学研究科博士論文
6. 「英国における鍋の近代化:近代家庭機器のデザイン史」平成18年/日本デザイン学会「デザイン学研究」第52巻
7. “Small Electric Cooking Appliances in the U.S.: Their development from the 1920s to the 1950s”平成20年/Proceedings of ICDHS 2008 OSAKA

(2)研究発表

1.「近代家庭機器のデザイン史−その5・鍋を事例として」平成7年日本デザイン学会「デザイン学研究」第42回研究発表大会
2.「道具学の枠組みと 研究領域−会員アンケートからの試論」平成9年道具学会「第1回研究フォーラム
3.「モンゴルのゲルと生活財:遊牧のゲルと定住のゲル」平成9年日本生活学会第24回秋季研究発表大会
4.「米国におけるコーヒー抽出器具の変遷: 近代家庭機器のデザイン史」平成11年日本デザイン学会第46回研究発表大会
5.「アメリカの道具ミュージアム ー ヘンリー・フォード博物館、アメリカ歴史博物館を中心に」平成12年道具学会第4回研究フォーラム
6.「プラスチックと近代のデザイン:道具デザイン史からの視点」 平成14年道具学会第6回研究フォーラム
7. 「コンビビアリティとマクドナルド化:人を幸せにする道具/不幸にする道具」平成16年道具学会「第8回研究フォーラム
8. 「米国における小型調理家電の発展過程:1920〜50年代を中心に」平成17年意匠学会第47回大会
9. 「生活空間とプロダクトデザイン」平成19年意匠学会第49回大会
10.「食卓上のUFO?:1940年代アメリカのワッフルアイアン」 平成19年道具学会研究フォーラム

(3)論説

1.「考現学:モノの集まりは生活の堆積」 平成10年/朝日新聞社刊『アエラムック・生活科学がわかる』48頁
2.「自動販売機」平成11年/日本生活学会編・TBSブリタニカ刊『生活学事典』464頁
3.「新しい道具と古い身体:道具は身体の延長なのか」平成14年/岡山県立大学デザイン学部刊『リプレ』創刊号21-22頁
4.「道具デザインの名作たち:亀の子束子、日本アルミ丸瓶、タッパーウエア」平成15年/日本デザイン学会編・朝倉書店刊『デザイン事典』26,31,33頁
5.「生活様式と生活史」同上書156-157頁
6.「晴れとケのデザイン」同上書306-307頁
7.「モンゴルの住生活と生活財:その考現学的調査」平成9年/滋賀県立大学人間文化学部研究報告「人間文化」第3号84〜97頁
8.「伝統産業彦根仏壇と現代デザインの融合化研究」(共著)平成11年/滋賀県工業技術総合センター研究報告1998、 54-64頁
9. 国際学会参加報告「デザインと進化」デザイン史学会年次大会2006デルフト工科大学/平成18年/道具学会『季刊道具学』第15号164−167頁
10. 「明治の雑貨産業2:畳、箒、箪笥」平成19年/日本産業技術史学会編,・思文閣刊 『日本産業技術史事典』45-46頁
11. 「庶民の住まいと調度」平成20年/日本デザイン学会編・朝倉書店刊『家具の事典』所収

(4)研究報告書

  1.『デザインのあゆみ』 共著 平成8年/日本デザイン学会「デザイン学研究特集号」 
2.『伝統産業彦根仏壇の展望』 共著 平成12年/虹の匠研究会編・県工業技術総合センター
3.『ユニバーサルデザイン対応ものつくり強化事業・平成14年度報告書』 平成15年/滋賀県工業技術総合センター
4. 『彦根仏壇産業における創作仏壇のデザイン開発』 平成17年滋賀県立大学等学術文化振興助成事業報告書
5. 『彦根城下町における町家の考現学的調査報告書』 平成18年彦根市史民俗部会報告書
6. 『道具学論集13・「研究」の研究』 編集 平成18年/道具学会「季刊道具学」15号

(5)著書/共著

1.『生活学第七冊』 共著 昭和56年 日本生活学会編/ドメス出版
2.『都市とデザイン』 共著 平成4年 (株)ボイスオブデザイン編/電通
3.『暮らしの中のガラスびん』 共著 平成6年 GK道具学研究所/東洋ガラス(株)(右写真2番目)
4.『長浜市史・第7巻・地域文化財』 共著 平成15年 長浜市史編纂室/長浜市
5.『道具学への招待: 道具学叢書001』 共著 平成19年 道具学叢書編集委員会/ラトルズ
(右写真3番目)

英国と日本における近代家庭機器の発展過程およびデザイン変遷に関する研究
-- 熱系家庭機器の近代化を中心に --

論文概要
   20世紀において工業的に生産された製品(プロダクト)のデザイン変遷は、デザイナーの造形思想の変化からだけでは説明できない。製品のデザインは、利用可能な技術、製品化した企業の活動、流通・販売のシステム、購買し使用した生活者の行動・心理・慣習など、さまざまな分野にわたる諸要因の総和として成立するものだろう。個々の製品には、デザイナーたちの造形思想を超えた、これら社会全体のダイナミズム、つまり、個々の製品をめぐる諸要因のはたらきが反映されているはずである。

本論文では、英国と日本において近代以降に量産されてきたいくつかの製品の発展・普及の過程について、特にそのデザインの変遷過程に着目しながら、具体的な考察をおこなった。そのための事例研究の対象として、家庭内での熱の利用に関わる「熱系」の家庭機器の中から、電気ケトル(魔法瓶と電気ポットを含む)、家庭用の風呂(浴槽および浴室設備)、調理用の鍋の3群を選んだ。本論では、これらの各事例ごとに、日・英での機器の近代的変容(近代化)の過程について、その変容をもたらした社会的背景、技術的背景、経済的背景、文化的背景(生活慣習・生活志向)から考察した後、それぞれの発展・普及・変容の要因およびプロセスの特性について、日・英で比較した。結論では、日・英の熱系家庭機器の近代化について総括するとともに、これらの機器の近代化を「進化」ととらえる概念や理論について検討した。


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